世に棲む日々

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (2) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (2) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (3) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (3) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (4) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (4) (文春文庫)

読了。萩には小学生の頃行った事があります。松下村塾を見に行ったり萩焼を見に行ったり・・・当時の自分は何も意味わかりませんでしたが、連れて行った父は何を思っていたのだろうか?
読んで印象に残ったのは、一つは松蔭が様々な思想を巡らせた上に辿り着いた「狂」の精神。松蔭は、自身が革命の先駆者となる思想家となることを自覚し、意識的に先鋭的な革命思想を唱え、行動を起こす。革命に必要なものは多くの民を惹き付ける思想であり、その為には思想家は狂わなければならない。松蔭のその思想が基点となって急進的な尊皇攘夷思想が巻き起こり、長州藩を先鋭的な政治団体へと変貌させていく。
二つめは、高杉晋作が引き起こした破壊的革命活動。上海で西洋文明の現実を見た晋作は、攘夷が到底実現不可能であることを悟り、しかしそこから逆に過激な攘夷活動を煽るようになっていく。晋作は、革命を成就させる為には、一度国が異国から激しく叩かれて焦土と化すことが必要と考える。その為に長州藩は死ぬべきだと考え、事実彼の思惑通りに藩は自殺行為となる攘夷運動を繰り返し、破滅寸前にまで追い込まれる。
革命を成す為には狂の精神が必要だと、維新の主役となった革命家達は言っていたという。ふむ・・・逆に言えば、革命とは、その「狂った民衆をコントロールする優れた革命家」がいなければ、当然悲惨な結末となるってことか。