海峡を渡るバイオリン
この一週間寝不足だったので、3時間もお堅い内容のドラマに耐えられるだろうかと冷や冷やしながら鑑賞しました。がしかし・・・
前半はまったりした展開。ハーメルンの笛吹き男のような男が、笛の代わりにバイオリンを弾いて子供たちを連れて行く。そのバイオリンの音に魅了されたのが主人公陳昌鉉。彼は後に日本人教師(オダギリジョー)に出会い、彼にバイオリンを学ぶ。先生と自然の中で触れ合い、そして「美しいもの」を求める心を学ぶ。やがて先生に赤紙が来て彼は旅立っていく。オダギリジョーは一歩一歩俳優への道を着実に進んでるなぁ・・・
先生になるのを夢見て日本に渡り、がしかし国籍の問題で教師になれなくなり、ひょんなことでバイオリン制作の道を志し、差別を受けたり恋愛したり結婚したりして(はしょりすぎか・・・)貧乏ながらバイオリン制作一筋の道を進む。
がしかし、神の名器と言われる「ストラディヴァリウス」に触れてから、彼はおかしくなり始める。鳴き声がストラディヴァリウスに似てると思って大量にミミズを捕まえてきて、それでニスを作ったり、赤ちゃんのオムツを替えてる途中にふと赤ん坊がバイオリンに見えて、背中にうんちをつけてそれを舐めたり(お、おい・・・)とにかくおかしくなってしまう。前半の菅野美穂との恋愛エピソードが「耳をすませば」なら、後半は「アマデウス」でしょうか? 天才に触れた凡才代表サリエリの狂気になんとなく似てる・・・
そんな彼の狂気が原因で赤ん坊を瀕死の状態にしてしまい・・・そこでいろんなことがあって、結局イチからやり直すことになる・・・という、めちゃくちゃはしょるとこういう話でした。
草なぎ君、菅野さんの演技は凄く熱が入ってて引き込まれました。特に狂った状態の草なぎ君の演技は鬼気迫ってましたね。でも、そこまでやるんだったら「バイオリン制作」そのものについてもっと掘り下げて描くべきだったんじゃないかなぁ・・・最後に彼は世界的に有名な賞を取るんですけど、その取る過程が全く描かれなかったのはあまりにもハショりすぎではないかと・・・キャストが頑張っていただけに凄く残念。
原作の説明とか読んでると、この人はバイオリン制作の為に世界116ヶ国を渡り歩いたんだとか。どうせなら前後編に分けるとかして、こういう部分にもスポットライトを当てて欲しかった。「職人」の人生を描くんだから、やっぱり「職人の生き様」をしっかりと描いて欲しかったですね。
とはいえ・・・人生を回り道した後、遅れて技術者の道を進むことにした自分にとって、色々と考えさせられるドラマでした。