東証システム障害:ネット急増に死角 動作試験が不十分(毎日)

http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/kinyu/news/20051102k0000m020126000c.html

10月の処理能力増強の際、東証からシステム開発を委託された富士通が、売買注文を処理する新しい売買プログラムを作った。この際、旧プログラムは削除せず、10月11日から31日までは新プログラムで順調に稼働していた。

 ただ、月末にコンピューターが必要のない旧プログラムを「自動消去」した際に落とし穴があった。消去の過程で新プログラムに必要な証券会社のデータの保存場所が移動。1日早朝に起動した際に、新プログラムがデータを見失い、システムが動かなくなった。

 東証はコンピューターの記憶装置などハードが故障した時に備え、バックアップ(後方支援)システムがある。しかし、コンピューターサーバー3基が同じプログラムで処理する仕組みのため、ソフト原因のトラブルには機能しなかった。

直接的な原因はテストか・・・しかしやっぱり、スケジュールとか、体制とか、予算とか・・・その背後に問題が隠されていることが、こういう障害の原因のほとんどなわけで。
営業時代、流通業担当のときに、大規模システム障害に対応している同部署の人達をよく見てたなぁ・・・営業というと、システム開発側からは「めちゃくちゃな条件の案件を勝手に成立させる全ての元凶」という、凄まじくネガティヴな印象で捉えられることが多いんだけど、自分はどうしても開発側よりも営業・顧客情報部門側のことを先に考えてしまう癖がまだ抜けてないようで・・・
まぁ顧客利用部門とか、トップのご意向とか、メーカー側の無茶な予算計画とか・・・様々な板ばさみに遭って、それで真っ当な案件への道を踏み外してしまう(というか、それを当然のこととして受け入れさせられる)・・・でもその状況が「モノづくりに携わる人間として、守らないといけない一線」の存在を忘れさせてしまい・・・それが結果として様々な大問題に繋がっていってしまう。企業の倫理に染まりすぎた人間が、自分が徐々に社会常識から外れてしまっていることに気付かないのと同じです。無茶なプロジェクトを強行させようとしている、特にトップサイドの人達が、こういう事件を教訓として、より安全性の高い方向へと動いてくれたら有難いのですが・・・
こういう障害によって一般企業の経営者側には、当然「ソフトウェアの安全性」に対する問題意識が芽生えるでしょうね。しかしここで、トップに対して何の働きかけもしなければ、単に「テストをしっかりやってその結果を文書で提示せよ」という命令が来るだけになってしまう。既に最近のテスティング重視の方向性を取り入れてがっちりテストしている現場ならいいんでしょうが、そうでない現場の場合、ただ単に「ドキュメントが増えるだけ」と見なされる可能性も・・・