戦場のピアニスト(ASIN:B0000896HN)

戦場のピアニスト [DVD]
劇場公開されたときに見ようかどうか迷ったんですが、お涙頂戴の美談ではないかと勝手に想像して、結局見ませんでした。今日の朝WOWOWで放送されてたので途中から見てみたのですが・・・思っていたのとは全く違う映画でした。
ひたすら淡々と描かれるホロコースト。何の演出もなく、引きの映像であっさりと描かれる殺戮シーン。そのあまりにも淡々とした演出に、逆に恐怖を感じずにはいられませんでした。あんなに、何の重みも感情も無く無差別に殺されたら・・・
主人公はただひたすら逃げ続けますが、その逃避行が続くうちに、街並みはどんどん破壊され、廃墟と化していきます。隠れ家が破壊されても、廃墟を彷徨って何とか生き延びようとする主人公。しかし、遂にドイツ兵に見つかってしまう・・・
日本題名「戦場のピアニスト」を現すシーンはただ1回のみ。極限状態の中で・・・しかしピアノを弾いているうちに、徐々にピアニストとして熱中し始める・・・そのシーンが本当に情熱的でした。それまでが、ただひたすら、残酷シーンを淡々と見せられ続ける映像の連続であったが為に、余計にこのシーンの美しさが際立っていました。
原作が実話であり、監督自身が体験した出来事でもあるが故に、恐ろしいくらいリアルな作品でした。しかし、リアルであるからこそ、「美しいもの」が素晴らしく描かれていた作品でもあった気がします。