ブラザーフッド

新宿の映画館で見てきました。客の入りは7割くらいでしょうか。爆発的人気ってわけじゃないけど、まぁまぁの入りだったと思います。以下ネタバレ改行






blogによっては「続きはこちら」みたいなリンクがついて、ネタバレ文章を楽に書けるような機能がついてるところも多いと思うんですが・・・あれってすごく良さそうですよね。はてなでも採用してくれればいいのに・・・








(以下、ネタバレ)
序盤は・・・ベタすぎるくらいベタベタな兄弟が、とにかくベタベタしていました(笑)こんなノリの映画に2時間も耐えられるだろうかと不安になったのですが・・・そんなシーンはほんの少しだけでした。
ウォンビン演じる病弱な弟が、朝鮮戦争勃発の混乱の中で、無理矢理徴兵されてしまう。そんな弟を助けようとして、韓国兵相手に暴れたが、結局一緒につかまってしまうチャン・ドンゴン・・・ここら辺も、なんかベタというか・・・前半はとにかくベタなドラマ展開が目立ちました。もしかして、わざと狙っての演出かもしれないけど・・・
戦闘シーンに入り・・・雰囲気は一変。突然襲ってくる爆撃の嵐。戦闘シーンになると、画面がブレた映像に移り変わり・・・人間が吹っ飛ばされ、破壊されていく様子がリアルに映し出される。戦闘シーンの演出としては「プライベート・ライアン」の、弾丸が行き交って兵士がどんどん死んでいくシーンが、自分の印象に強く残っていたのですが・・・あれに匹敵する、いや、残酷描写という面では、あの映画を超えているかもしれません。とにかく、目を覆いたくなるような描写の連続でした。
弟を守る為に入隊し、弟を一日も早く除隊させる為に無茶を繰り返し、勲章を貰おうと奮闘するチャン・ドンゴン。しかし・・・彼が活躍して兵士として評価されていくにしたがって、彼の心はおかしくなっていく・・・そんな兄に反発し始める弟。この二人の変貌の描き方は良かったですね。特にチャン・ドンゴンが、徐々に戦争の中で狂気の心に蝕まれていく様には・・・圧倒されました。
朝鮮戦争って、自分は歴史の授業の中でちょこっと学んだだけだったんで・・・北朝鮮が大きく攻め込んで、韓国と米国の合同軍が大反撃して平壌に迫って、しかし中国が反撃してきて・・・最終的に38度線で休戦・・・みたいな、こんな記号的な知識しか持っていなかったんですけど。実際にどのようなことが起こったのか・・・初めてこの映画で感じることが出来ました。終盤に出てくる共産主義弾圧のシーンって、まるでナチスホロコーストみたいで・・・かなりショックを受けました。
クライマックス、ウォンビンが兄を救出する為に戦地に向かうシーン。「ディア・ハンター」を連想しました。あの映画では、ロシアンルーレットの恐怖に心を壊された友人を、ロバート・デニーロが救出しに向かったんですけど・・・ディア・ハンターは本当に救いの無い終結でしたけど、この映画は、最後の最後でチャン・ドンゴンが正気に戻って・・・そこが唯一の救いだったかな・・・
他の戦争映画に比べて勝ってる負けてるとかじゃなくて・・・戦争映画って、その事実を観客の記憶に残す為に作ってるんじゃないかって思うんで・・・その点で、今回の「ブラザーフッド」は、他の有名な戦争映画に肩を並べる作品ではないかと思います。公開前に韓国エンタ系の雑誌で情報を集めていたときは、その大作主義に批判の声が多かったり、戦争映画に兄弟愛という感動ドラマ的要素を入れたことにより、戦争の悲惨さを消してしまうんじゃないか・・・そんな声を色々聞きましたが・・・この映画を見て、カン・ジェギュ監督は、とにかくこの映画を沢山の人に見せて、朝鮮戦争という事実をはっきりと記憶させたかったんじゃないかな・・・そんな気がしました。少なくとも、私個人で考えれば、今まで歴史の授業で一瞬だけ勉強した一出来事が、ここまで強烈な記憶として塗り替えられたのですから。


ラストのBoAの主題歌については・・・個人的に、国によって映画の内容が変えられることはあまり好きではないので・・・でも、それでも、この作品に彼女の歌がかかわることが出来たのは、嬉しいことですね。スクリーンに映し出された歌詞を読む限りでは・・・この曲って、イ・ウンジュ演じるヨンシンの心を歌っているのかな?・・・