新選組!

ついに来ました池田屋事件。自分は新選組素人なんで、じっくりと描かれている作品を見るのはこれが初めてでした。いやー・・・凄く良かった!
オープニングの軍議、ガラに無く声を張り上げる山南。ずっと穏やかな演技を貫いていただけに、やけに目立ちます。沖田が「山南さんも怒鳴ることがあるんだ」と一言。
軍議は武田観柳斎の独壇場。前回から目立ちまくりの武田。非常にキれるが、自身のアピールも非常に露骨(笑)非常にウザイ(笑)まぁ、狙ってやってるんでしょうね
天下の一大事を、八木一家に相談する近藤。ここは、1話から続いている「青二才の香取近藤」が全開でしたね。何もこの人達に聞かなくても・・・でも、このシーンがあるからこそ、池田屋での鬼局長の描写が生きてきたというか。
桂さんは、捨助のおかげで命拾いするのか(笑)・・・これが「逃げの小五郎」の始まりですか?
さて、いよいよ池田屋。ここに至るまでにはギャグも満載でお気楽に話が進んでいたのですが、ここからガラリと急変。
まずは一人で踏み込む近藤。メチャクチャ強い・・・刀は片手持ち、そして肘を多用した荒々しい太刀回り。今までチャンバラシーンが殆ど無かったドラマなだけに・・・異様過ぎるくらいカッコイイ。ここで有名な階段落ちシーンもあり。
いろんな日記の感想でも指摘されてありましたが、一つの画面で手前と奥で複数の太刀回りを映してるのがすごく新鮮。鬼のように強い近藤・永倉、飄々と太刀回る沖田を描く一方で、長州志士に殺される無名組員もしっかり描いていたのは、三谷さんのこだわりでしょうか。
平助の斬られるシーンも良かった。必死な太刀回りの果てに敵を倒した後、ふと油断した瞬間に顔から斬り付けられる。このときの表情がめちゃ痛そう・・・上手いですね。
望月亀弥太を非常な表情で斬り、止めを刺そうとした沖田。しかしその直後に吐血。タイミング良く落ちてきた紫陽花の花の上に血が滴り落ちる。おぉ・・・凝ってるなぁ・・・と思ってたら、そこから更に花が舞うCGが・・・そ、そこまでやりますか?(汗)
遅れて土方組登場。「かっちゃん後ろだ!」の声の後、「待たせたな」と土方。土方の出番はここだけですが、非常に美味しい(笑)
源さんは渋い剣さばき。左之助は槍での面白戦法、島田は、まるでジャンプの戦闘シーンみたいな怪力戦法。どこを斬られても武具で固めてまるで効かない。ここら辺はただただ観てるだけで面白い。でもやはり圧巻は斉藤一。一際大きな刀の振りが美しく、しかも斬った直後にニヤリと笑う・・・オダギリジョー最高!
長州藩邸まで逃げてきた望月。しかし桂は非情に追い返す。結局望月は自刃。ドラマで何回も登場し馴染みも深かっただけに、この悲惨な最期は厳しい・・・これも三谷さんの狙いか・・・
生き残っていた宮部鼎蔵と近藤・土方が相対。
宮部「わしらを斬った所で、時代の流れは止められん。自分がやってることの愚かしさに、何故気付かん」
土方「愚かなのはそっちの方だろう」
近藤「今我らのお役目は京の治安を守ること。己の生き方に一片の曇りも無い」
宮部「我らの後には、何千、何万の志士が続く。お前はそれを、悉く斬るつもりか」
近藤「それが御公儀に楯突く者ならば・・・斬る」
宮部「・・・愚かなり・・・近藤勇
このやり取りが痛い・・・このやりとりからは、近藤の正義と、宮部の正義は、同じものに見えて仕方ない・・・この直後、近藤に斬りつけ、殺される宮部。
おりょうから池田屋事件、そして望月の死を聞かされる坂本竜馬。近藤に、桂に対して激怒する坂本・・・今まで、近藤と坂本を親友として描いていたのは・・・坂本竜馬に「語り部」になってほしかったからだったんですね。この設定、番組開始直後はかなり批判を浴びてましたが・・・三谷さんはこれがやりたかったのか・・・
「近藤・・・おまん、何やりゆうがぜよ・・・わしゃ昔から言ううがじゃ・・・日本人同士・・・殺しおうて一体何になるがぜよ・・・こんなこと繰り返しても、新しい世の中はいつになっても来んきね!」・・・「正論」を叫ぶのが、このドラマでの坂本の役目。その坂本は、近藤を厳しく非難する。「どいつもこいつも、みんな馬鹿じゃき!」と叫ぶ坂本・・・誰が言うよりも「坂本竜馬」という人物から放たれる言葉が、最も重く、新選組の愚かさ・儚さを現してる気がしました。