華氏911

久々に映画館に行って来ました。映画の内容はドキュメンタリー。現ブッシュ政権の成り立ちから9/11以前、9/11以降の動向について取材を行い、その疑問点、問題点を浮き彫りにし、激しく弾劾する内容でした。
正直言って、それほど目新しい情報が提示されたわけじゃなく・・・イラク戦争開始直前に激しく議論が行われた時に、現政権の後ろ盾みたいなものについては、ある程度暴かれつつあった記憶があります。ただ・・・そういう事を多くのアメリカ国民や世界の人々に知らしめたという点で、この映画には大きな意義があるのかなという気がしました。
ただ・・・現政府を叩くのであれば、マイケル・ムーア自身の立場をより明確にしておかなければ、ちょっとフェアではないのでは? 彼は自身の作品の中でブッシュ大統領を辛らつに批判し、少々バカにするような演出をしていますが・・・正義にせよ悪にせよ、自身の都合の良い視点のみを取り上げ、更に茶化した演出を入れることによって、いつでも「これはただの娯楽映画です」といって逃げられる道を用意してるような・・・そんな気がしました。真正面から戦ってないんじゃないか?・・・
イラク戦争を実現する為に国民を扇動し、マスメディアを悪用したという点は、この映画が指摘している問題点の中で非常に重要なポイントだと感じたのですが・・・そこに対する取材がいい加減というか・・・ブッシュをコケにする映像を入れるくらいなら、そこに対するもう一歩踏み込んだ取材が見たかったのですが。
こういう映画が出ること自体は歓迎するのですが・・・これじゃ、単なる「野次」で終わってしまってる気がします。じゃあムーアは観客にどうしてほしいのか? 民主党を支持してほしいのか? 民主党ならイラク戦争をやめてくれるの? なんかしっくりこない。ムーアは「もう騙されない」って言ってるけど・・・この映画自体「騙してる」人達とたいして変わらない手法を使ってるんじゃないのかな・・・
娯楽として楽しむには少々退屈な内容でしたし・・・個人的には不満足な作品でした。ただ、この映画がいろんなキッカケにはなるのかもしれません。それが狙いなのであれば・・・この映画の存在意義は大きいのかもしれないですね。