世論について

先日の日記のコメント欄で沢山ご意見を頂きました。興味深いテーマがあったので、新たに日記の形で書かせていただきます。
>kyoleeさん
お久しぶりです。お元気でしたか? ちなみに大阪のBoAのライブは土曜に急遽参加することにしました。なので是非お会いできたらと思います。宜しければMiracleさんも是非
さて、今の韓国世論についてなんですけど・・・結論としては自分は政府主導のものだと思います。ただ、それは盧武鉉政権の短期でコントロールできるようなものではなく、太平洋戦争終結後の戦後の歴史教育の中で長期間に渡って形作られていったものではないかと。
韓国人でもないのに私がそう思うのは、自分たちがまさに世論をコントロールされてきた歴史を身をもって体験しているからです。前々から、日本の歴史認識・歴史教科書検定に対する中国・韓国・北朝鮮からの抗議は一貫していると思いますが、実は日本ではその3国が主張するような内容の教育が戦後一貫して進められてきました。小・中・高と学年が高くなるにつれて「受験問題に出にくい」という理由で現代史が軽んじられる割合が高くなる・・・というのが日本の歴史教育の特徴なんですが、結果的に、日本人は最も幼い小学生の時期にそういった現代史教育を受け、その後は放置される・・・という道を歩む人が多いです。
日本人が学ぶ現代史教育の基本は「平和憲法を守ること、日本国の戦争責任をしっかりと自覚すること、反戦・平和主義を貫くこと、かつて侵略したアジア諸国への謝罪と反省の気持ちを忘れないこと」でした。少なくとも自分はそういう教育(というよりも思想ですねこれ)を受けてきたし、その思想をある時期までずっと持ち続けてきました。日本の閣僚が戦争責任について発言して中国・韓国から反発されるたびに「何を言ってるんだコイツは・・・」と思ってきたし、歴史教科書問題が起こったときも、激しいマスコミ・市民団体からの批判に同意していました。歴代首相や天皇が中国・韓国に対して謝罪することを支持していたし、自衛隊憲法違反だと思っていました。
日本人全員がそうではないにせよ、世論の中でこういった考えが大きな地位を占めていたのはたしかです。しかし・・・その世論はある時期から大きく崩れ始めることになります。
私の場合、前にも言ったように最初のキッカケは湾岸戦争でした。日本は平和憲法に則り、自衛隊は出動させない代わりに多大な資金援助を行いました。しかし、その行動は世界中から激しい批判を受ける結果となり、日本は第二の敗戦国であるとまで言われます。日本の平和主義は、所詮「自国さえ戦争に巻き込まれなければ世界がどうなろうと無関係」という「一国平和主義」であり、今の日本の平和主義・護憲主義は国際世論から大きくかけ離れている・・・という批判が、このときを境に国内でも強く出てくることになりました。私もこのときから今まで教えられ、疑うことなく信じてきた信念にたいして初めて疑問を持ちました。
二度目のキッカケは、自社連立政権です。細川政権樹立によって野党となった自民党が、まるっきり政策も思想も違う社会党と野合した結果、社会党党首の村山富市を首相とする政権が発足しました。この社会党の政策が、戦後日本に一貫して行われてきた日本の歴史教育思想そのものであったのですが・・・この社会党政権は、自らが政権を取った途端に、党の政策を180度変換させ、自衛隊も日の丸も君が代も認め、それまでの自民党と何ら変わりない政策を行います。湾岸戦争によって今までの現代史思想について疑問を抱き始めた日本人は、ここで自らの思想そのものを政策として掲げていた政党が、政策変更無しには日本の政策を行うことが全く出来ない、完全な「口だけ集団」であったことを目の当りにします。しかも、1995年に発生した阪神大震災で村山政権は自衛隊の救助活動を妨害するかのような行動を行い、海外の軍隊による援助を拒否し・・・結果として救えた筈の沢山の命をむざむざ犠牲にしました。ここに至って、日本の左派政策の無能ぶり、害悪ぶりは極まりました。現実を見ない思想だけの政治が如何に国民にとって無益で害悪であるか・・・少なくとも私は、この時点で今まで教え込まれてきた「戦後民主主義」と呼ばれる思想を捨てました。
長くなってしまいましたが・・・逆に言えば、国際社会からの大バッシング、そして政策上での明らかな過失を見るまで、自分の思想というものは教育として教え込まれていた内容そのものでありましたし、その是非について疑うこともありませんでした。「世論操作」というものは、そういうものだと思います。日本で右傾化が進行していると言われる状況は、単にネットの影響力等の結果出てきたものではなく(勿論、ネットは新しい世論形成に大きな影響力を持っているとは思いますが)、戦後の歴史の中で大きな疑問点・矛盾点を見せ付けられることによって初めて動き始めるものだと思います。
中国・韓国で反日思想が大きな世論となっているのは、まず第一にその思想が国内世論で「絶対的な是」であり、それに疑問をもたらすような現実が各国内に存在しないからだと思います。これは、日本と韓国、日本と中国のような二国間の争い等で解決できるようなレベルのものではなく、それが各国の国民にとって明らかに「非である」というような大きな出来事でも起こらない限り、変わることは無い気がします。それが良いとか悪いとかではなく、結局、各国の国内世論は各国の国民が与えられた情報の中で是非の判断をするしかない。もし、それに影響力を及ぼすような力があるとすれば・・・それは、日本が最初にショックを受けた湾岸戦争のような「国際世論」以外に無いと思います。
じゃあ日本が何をしたらいいのか・・・結局、特別なことは何も出来ないし、国際社会、国際法の常識に則った行動を行うしかない。最悪なのは、問題を先送りしたり隠蔽したりすることであり・・・まぁこれについてはまた後日。