(まとまったときの)無党派層こそ最大最強の組織票

今回の選挙結果を受けての、各マスコミやネットの反応を色々と見てました。新聞・テレビメディアはどっちかというと今回の選挙結果に呑まれたような発言が目に付いたのですが、逆に雑誌やネットでは少々ヒステリックに思えるくらい結果を絶望視する声も耳にします。うーん・・・たしかに、今回ほどの自民圧勝を期待して投票した人は少なかっただろうし、「こんなに与党が勝ってしまって大丈夫か?」と思う人の気持ちも理解できます。また、日頃から反小泉の立場を貫いている人達が「これでいよいよ独裁完成か。日本国民は流されっぱなしの愚民揃いだ」と激しく憤るのも・・・まぁ例えば今回民主が300ぐらい取って圧勝してたとしたら、自分もそんなことを思ってしまったかもしれないし(汗)、立場を思えばそう考える人がいるのもやむをえないのかなぁ・・・
・・・がしかし、こうは考えられないでしょうか? 「今回の選挙により、無党派層はあらゆる組織票を凌駕し、最大最強の組織票へと変貌した」と。無党派層の強みは「そのときそのときで投票する党を一人一人が変えることが出来る」、ここに尽きると思います。この無党派層を取り込む為に、今後各党は「国民世論」を無視した行動が非常に取りにくくなるでしょう。当然、世論をコントロールする為にマスコミを動かしたり、ネットを扇動したり、ありとあらゆる「世論対策」を行ってくることは予想できます。それこそ今回の小泉のように「劇場型選挙」で国民全体を自分の方向に引き寄せるような、神業のような手を使ってくる政治家もいるかもしれません。そこには当然危険が付きまとうし、その危険を国民は肝に銘じておかなければならないでしょう。
・・・しかし、ある特定支持団体の方向しか見ずに、国民の非難を無視するような政治家よりはいい。当然無党派層は気まぐれですから、露骨に国民に媚びるような政治家や、夢物語ばかり語って何ら具体策を示さない政治家は逆に支持を落とすかもしれません。政治家が国民を意識し、無党派層を取り込もうと積極的に活動することによって、国民がより政治に興味を持つようになれば、結果として国民の目はより厳しくなり、政治家はより本質的な政治を求められる。言わば、企業と顧客との関係に似てくるのではないでしょうか?
今まで、政治家も国民も、お互いの距離が遠すぎた。政治家は一般国民よりも特定支持団体を頼みにしていたし、国民は政治の世界が自分には関係ないと思い続けてきた。今回の選挙結果は、小選挙区制では国民全体の意思が一つの方向に定まったとき、全ての組織票をぶっ飛ばす凄まじい影響力を発揮することを如実に示したと思います。今回の選挙結果は、最早無党派層を抜きにして選挙を語れないという現実を、全ての党に突きつけたと言ってもいいのではないでしょうか?
ただ・・・無党派層が与党に対して圧力をかけるには、やはり「政権交代能力のある野党」がどうしても必要です。今回解党の危機にまで追い込まれた民主党を何とか再生させなければいけないし、それが出来ない限り真の「国民主導の選挙」実現もまた難しい。「じゃあ民主を負けさせなければよかったじゃないか」という人も多いかもしれませんが・・・少なくとも、今までの民主党のような、特定支持団体に縛られ、選挙互助会的な野合でまとまれない、過去の政党の悪い部分を全て抱え込んだような党のままでは、どのみち政権与党は無理だったと思います。回り道に思えるかもしれませんが、ボロボロになった民主党をこの機会に、党の幹の部分からしっかりと建て直してもらうことが重要ではないでしょうか?